逃亡犯条例とはわかりやすく解説~改正がなぜ問題?香港デモとの関係

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こんにちは。

Jewelです。

 

2019年から始まった香港での大規模デモや、2020年6月30日の中国による香港の国家安全維持法の施行は、「逃亡犯条例」の改正問題が大きくかかわっているのをご存じでしょうか。

 

今回は逃亡犯条例とは何かわかりやすく解説していきたいと思いますが

そもそも最近よく聞く逃亡犯条例ってなに?

逃亡犯条例を改正する?それってだめなの?いいの?

となりますよね。

 

逃亡犯条例は、香港や中国だけに関係する話ではなく、世界でも「犯罪人引渡し条約」として多くの国同士で決められている約束ごとです。

「犯罪人引渡し条約」は、例えば日本で犯罪を起こした容疑者が海外に渡った場合、その国に容疑者の引き渡しを求めることができる条約のことをさします。

 

カルロス・ゴーン被告の例が分かりやすいのですが、彼は日本で金融商品取引法違反として逮捕、保釈した隙に、レバノンに逃亡してしまいましたよね。

本来日本としては、国外逃亡したとしてもゴーン被告をなんとしてでも日本の法律にのっとって裁き、その判決に従ってほしいわけです。

 

しかしながら、日本はレバノンと「犯罪人引渡し条約」を結んでおらず、ゴーン被告がレバノンにいる限り、レバノン側は彼を日本に引き渡す義務はないとなるので、

いまだに日本の法律で裁けないでいるわけです。

日本としては地団駄モノですが、これは仕方がないのが現状です。。。

 

上記の例を踏まえ、今回は中国と香港の間の逃亡犯条例とはどういうものか、逃亡犯条例を改正すると何が問題なのかを分かりやすく解説していきたいと思います。

 

 

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逃亡犯条例とはわかりやすく解説

香港の逃亡犯条例とは

逃亡犯条例とは、

香港以外の国や地域で罪を犯した容疑者を、犯罪が起きたその国や地域の要請に応じて引き渡せるよう定めた条例です。

香港はこの条例を米国や韓国など20カ国と協定を結んでいます。

 

つまり、アメリカで罪を犯した香港人が香港に戻ってきてしまっても、アメリカに犯人を引き渡してアメリカの法律で裁判をおこすことができますし、

香港でアメリカ人が罪を犯し、アメリカに戻ってしまっても香港に引き渡して香港の法律で裁判をすることができるわけですね。

 

ただし、この条例は結んだ国同士でしか効力を発揮できません。

 

香港はアメリカや韓国など20ヵ国とこの条例を結んでいますが、中国や台湾とはこの条約を結んでいないんですね。

 

というのも実はこの条例は、イギリスが決めた条例なんです。

香港は1997年に中国に返還されるまでの間はイギリスの領土でしたよね。

 

なので、返還前までイギリスは、香港における逃亡犯条例を、

犯罪者が香港に逃亡してきた場合、身柄を他国に引き渡す条件として「司法制度や刑事制度が確立されていて、人権が正しく守られている国には引き渡す」と決めていました。

(中国はこの条件を満たす対象国ではなかったんですね。。。)

 

そして香港がイギリスから中国に返還された後も、特に中国から何も言われることなく、この香港の逃亡犯条例は適用されていたわけです。

 

しかしながら、2018年にこの香港の「逃亡犯条例」がきっかけとなり、大きな問題が勃発してしまったのです。

 

香港の逃亡犯条例の落とし穴

2018年、台湾旅行中の香港人のカップルが喧嘩になり、男性が女性を殺害してしまいました。

さらにはその女性の遺体を台湾においたまま、男性は香港に帰ってきてしまったんですね。

俗にいう香港人殺人事件(潘曉穎殺人事件)です。

 

本来であれば、台湾は台湾で起きた殺人事件として、犯人を逮捕し、台湾の法律で裁くところですが、香港は台湾と犯罪人引渡し条約を締結していないので、

台湾に犯人を引き渡して殺人罪の裁判にかけられません。

逆に香港でも香港で起こった出来事ではないので裁判にかけることができません。

この犯人の男性はどちらの国でも裁かれていない状況となってしまったんですね。

 

もともと、香港は中国や他の国で犯罪を犯した人の逃亡先として隠れ家のような存在になっていて、治安改善のため香港政府は逃亡犯条例の改正をしたいと考えていた背景がありました。

その矢先にこの香港人殺人事件(潘曉穎殺人事件)が起きてしまったので、香港政府としてはいよいよ改正しなければという風潮になってきたわけです。

 

ここまで聞くと、そりゃ逃亡犯条例を改正してもいいんじゃないのとなりますよね。

 

逃亡犯条例の改正の問題点

香港政府による逃亡犯条例の改正案

簡単にいうと、

犯罪者の身柄引き渡しを簡略化して、引き渡し協定を結んでいない国からの要請でも容疑者を引き渡せるようにする

というのが香港政府の逃亡犯条例の改正案でした。

 

これが、香港国民の大反発を買うこととなり、大規模なデモに発展したわけです。

 

逃亡犯条例改正の問題点

なぜ、香港市民からの大反発を買ったかというと、

この逃亡犯条例の改定により、犯人の引き渡し協定が中国にも適用されるため、事実上、香港の一国二制度が崩壊すると考えたからです。

これが逃亡犯条例改正の大きな問題点だったわけです。

 

香港はイギリスから中国に返還されましたが、2047年までは、社会主義の中国国家にあっても、民主主義的な思考が許されるとされています。(一国二制度)

 

もし逃亡犯条例が改正されてしまうと、中国は香港にいる容疑者を中国に引き渡すよう香港に要求できるようになってしまうんですね。

つまり、中国側から、この人は中国の○○法に違反している疑いがあるから中国側に引き渡せ!中国の法律で裁いてやる!という事が簡単にできるようになるということです。

 

悪いことをしていたらそりゃ裁かれて当然じゃないかと思うかもしれませんが、そこが一国二制度で守られてきた香港と中国の文化や法律の違いが大きく関係してくるわけです。

 

>>香港の一国二制度や、制度崩壊に関する詳しい記事はこちら↓↓↓
香港の国家安全法とは?分かりやすく解説~中国が決める理由

 

中国の司法制度

中国は国家や政権に対する転覆罪を厳しく取り締まっています。

 

日本であれば、世界中のインターネットの閲覧に規制はほとんどかかっていないので、どの国の情報を見たい放題ですよね。

また、YoutubeやInstagram、Twitterなど、海外のサービスも自由に使えます。

 

しかしながらこれは中国では見ることはできません。

中国からの情報で支配し、他国の余計な情報を中国国民の耳に入れないためですね。

 

 

日本では政治的発言なんかも誰もが自由に行えますね。政権批判なんて誰でもできます。

「安倍政権、反対」「安倍さんが首相はあり得ない」などと個人が発信しても、仲間で集まって団体を作ったり、反対集会やデモをしても、捕まることなどありえませんね。

また、犯罪を犯したとしても、法に基づいた制度の下手続きや裁判が平等に行われます。

 

これらは私たちにとっては当たり前のことで、民主主義制度のもと様々な権利が憲法によって定められており、きちんと守られているからです。

しかしながら、こちらも中国では当たり前ではないのです。

 

中国の司法制度は、政治家の息がかかっているようなもので、政府の批判を口にしようものなら、ネットに書こうものなら危険人物としてマークされたり、

拘束されて濡れ衣も着せられて、はい実刑判決!なんてこともありうるんですね。

 

となると、当然今まで一国二制度により民主主義の思想が許されてきた香港市民にとってみたら、発言も自由にできない、情報収集も自由にできない、

もしやってしまったら、危険人物としてすぐにつかまってしまう、どんな罪を着せられて実刑が下るか分からないとなります。

 

そういうわけで、この「逃亡犯条例」が改正されてしまうことを香港市民は恐れ、「逃亡犯条例」を改正しようとした香港政府に対するデモ活動へと発展したわけですね。

そして、止めることができないくらい大規模なものへと発展してしまいました。

 

香港政府の対応

 

最初は「逃亡犯条例の改正反対」から始まったデモが、

以下の5つの要求を掲げた170万人もの香港市民のデモにまで発展してしまい、香港政府は鎮静させることができませんでした。

  1. 逃亡犯条例改正案の完全撤回
  2. 市民活動を警察や政府が「暴動」と定義しないこと
  3. デモ参加者の逮捕と起訴をやめること
  4. 職権を乱用した警察の暴行の責任追及すること
  5. 林鄭月娥行政長官辞任と民主的選挙の実現

 

そこで、2019年9月に香港政府は1つ目の要求である「逃亡犯条例改正案の完全撤回」は飲む形となり、当初の香港市民の願いはいったんかなった形となりました。

 

しかしながら、5つの要求に膨れ上がった香港市民のデモ活動は翌年にも続くことになってしまったのです。

中国が逃亡犯条例を「香港国家安全維持法」として決めてしまったわけですね。。。

 

逃亡犯条例、改正まとめ

香港政府による、逃亡犯条例の改正はかないませんでしたが、

香港市民にとって逃亡犯条例は中国からの不法な取り締まりを受けないため、民主主義(一国二制度)を守る手段であるということです。

 

いまはまだ、一国二制度で民主主義が守られるべき立場にある香港市民ですので、逃亡犯条例を含め、自由な発言、自由な行動は守られなければいけないですね。

 

 

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コメント

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